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なぜ調剤ではお店のポイントが付きにくいの?国のルールと2026年7月の変化

調剤ポイントの決まり 2012年に原則禁止、2026年に「合計1%まで」 コラム

ドラッグストアの調剤の窓口で、処方せんのお薬代を支払っても、お店のポイントが付かない。付いても「現金で支払ったときだけ」。2026年7月ごろから、こうした案内を見かけることが増えました。

これは、お店が意地悪をしているわけではありません。処方せんのお薬代には、国のルールがあります。この記事では、そのルールがどうして生まれ、どう変わってきたのかを、厚生労働省の通知をもとに順番にまとめました。

先に結論

  • 処方せんのお薬代は国が決めた値段で、窓口で支払う自己負担分は値引きできません。お店のポイントは、値引きと同じと考えられています
  • 2012年から、お店のポイントは原則として付けられないことになりました。カードや電子マネーのポイントは「当面やむを得ない」として認められています
  • 2026年6月、カードのポイントとお店のポイントを合わせて1%までと整理されました。そこで多くのお店が「現金のときだけ、お店のポイントを付ける」形に変えました

いまのお店ごとの扱いは、処方せんの支払いでポイントは付く?ドラッグストアごとの扱いにまとめています。

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薬代は国が決めた値段で、値引きができません

病院で出された処方せんのお薬は、健康保険を使って受け取ります。お薬の値段(薬価)や、薬局の調剤の手間に支払われるお金(調剤料)は、国の会議(中央社会保険医療協議会)で話し合って決められた「公定価格」です。どの薬局で受け取っても、同じお薬なら同じ値段になるのはこのためです。

窓口で支払うのは、そのうちの1〜3割の自己負担分です。健康保険法では、この自己負担分を減らしてよいのは、災害などの特別な事情があるときだけとされています。つまり、薬局が自分の判断で値引きすることはできません。

では、ポイントはどうでしょう。100円で1ポイント付けば、次のお買い物で1円引きになります。お店のポイントは、少しあとで受け取る値引きのようなものです。ここが、処方せんのお薬代とポイントがぶつかるところです。

ポイントをめぐる、これまでの流れ

時期 できごと
2010年 ドラッグストアが、処方せんのお薬代にもお店のポイントを付け始める
2011年1月 国が「ポイントそのものを禁じる決まりはないが、自己負担分の値引きにあたれば違反」と通知
2012年10月 お店のポイントは原則として付けられないことに。カード・電子マネーのポイントは「当面やむを得ない」
2017年5月 「1%を超えるポイント」などが、指導の対象と示される
2023年9月 病院・クリニックの窓口でも、同じ考え方であることが示される
2026年6月 カードのポイントとお店のポイントを合わせて1%までと整理。スマホのQRコード決済も、カードと同じ扱いと明記
2026年7月〜 大手のドラッグストアが、お店のポイントを「現金のときだけ」に

2010年:調剤ポイントが広がる

2010年の夏ごろ、関東のドラッグストアが、処方せんのお薬代にもお店のポイントを付け始めました。秋には大手のドラッグストアが続き、業界紙では「調剤ポイント」と呼ばれて大きな話題になりました。

このころの国の考え方は、「ポイントの付け方や使い方そのものを禁じる決まりはないが、自己負担分の値引きにあたる場合は、ルール違反になる」というものでした(2011年1月の通知)。白黒がはっきりしないまま、広がっていった時期です。

2012年:お店のポイントは原則として付けられないことに

2011年11月、国の会議が「原則として禁止」の方針を決めます。翌2012年1月に意見を募ったところ、1万3,863件の意見が集まり、そのうち反対が1万3,008件、賛成が855件でした。反対の意見でいちばん多かったのは、「クレジットカードや電子マネーのポイントは禁止しないのに、つじつまが合わない」というもの(2,788件)でした。

それでも、2012年10月1日から、薬局のルール(保険薬局及び保険薬剤師療養担当規則)に「お金の得を示して、患者さんを自分の薬局に呼び込んではいけない」という決まりが新しく入りました。国の通知では、理由として次の2つが挙げられています。

  • 調剤料や薬価は国の会議で決めた値段なので、ポイントのような「おまけ」を付けるのはふさわしくない
  • 患者さんが薬局を選ぶときは、ていねいな調剤や説明の質で選ばれるべきで、ポイントで選ばれるべきではない

いっぽうで、現金と同じように支払いに使えるクレジットカードや、広く使える電子マネーのポイントは、「支払いを便利にするためのもの」として、当面やむを得ないとされました。お店のポイントはだめ、カードのポイントはよい、という線が、ここで引かれます。

2017年:「1%を超えたら指導」の線引き

原則は禁止でも、カードと一緒にお店のポイントを付けるなど、あいまいなところは残っていました。2017年1月、国は、次のどれかにあてはまる薬局を指導の対象にすると示し、5月から実際に指導が始まりました。

  • ポイントを使って、自己負担分を安くできるようにしている
  • 自己負担分の1%を超えてポイントを付けている
  • ポイントを付けることを、建物の外の看板やテレビのCMなどで大きく宣伝している

このころから、「処方せんのお薬代にはポイントで支払えない」「付いても1%くらいまで」という形が定着しました。

2023年:病院・クリニックの窓口も同じ考え方

2023年9月には、病院やクリニックの窓口でも、カードやスマホ決済で支払ってよいことが、あらためて示されました。そこで付くポイントは「当面やむを得ないもの」で、1%を超えるポイントなどは、薬局と同じく指導の対象とされています。

2026年6月:合わせて1%まで

2026年6月23日、国はあらためて考え方を整理しました。大きく変わったのは、次の3つです。

  • QRコード決済などもカードと同じ扱い:交通系ICなどのタッチ決済や、QRコード・バーコード決済のポイントも、「当面やむを得ない」側に入ることが明記されました
  • 重ねて付けるときは、合わせて1%まで:カードなどのポイントに、お店独自のポイントや共通ポイントを上乗せする例が目立つとして、その合計が1%を超えないこと、そしてそれを説明する責任は薬局にあることが示されました
  • まわりのサービスにも:処方せんの受付サイトが利用者にお金やポイントを戻すことや、お薬の送料を「無料」と宣伝することも、指導の対象とされました

2026年7月〜:大手が「現金のときだけ」に

この整理を受けて、スギ薬局は7月1日から、処方せんのお薬代のスギポイントを「現金で支払ったときだけ」にしました。マツキヨココカラやウエルシアも同じ形に変え、ドラッグユタカ・ドラッグセイムスもいまは現金のときだけです。キリン堂は8月24日から、現金とお店の電子マネーのときだけにしています。

処方せんのお薬代とポイントのルールの流れ:2010年 ドラッグストアが調剤ポイントを始める、2012年 お店のポイントは原則禁止・カードや電子マネーは当面やむを得ない、2017年 1%を超えると指導の対象、2026年6月 カードとお店のポイントは合わせて1%まで・QRコード決済もカードと同じ扱い、2026年7月から 大手が現金のときだけお店のポイント
処方せんのお薬代とポイントのルールの流れ(なにとくで作成)

「現金のときだけ」は、国の命令ではありません

ここは、よく誤解されるところです。2026年6月の国の整理に、「7月から」や「現金のときだけにしなさい」とは書かれていません。国が求めたのは、カードのポイントとお店のポイントを合わせて、1%を超えないようにすることです。

ところが、お店の側からは、お客さんのカードが何%のポイントを付けるのか分かりません。1%のカードもあれば、1.5%や2%のカードもあります。カードで支払う人にお店のポイントを上乗せすると、合計が1%を超えてしまうかもしれません。

そこで多くのお店は、「カードやスマホ決済で支払うときは、お店のポイントを付けない。現金で支払うときだけ、1%以内で付ける」という、分かりやすい線を引きました。国の決まりを守るために、各社が選んだやり方です。

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お店のポイントとカードのポイント、元手が違います

「お店のポイントはだめで、カードのポイントはよい」。2012年の意見募集でも、ここが一番の反対理由でした。この違いは、ポイントの元手(どこからお金が出ているか)を見ると分かりやすくなります。

  • お店のポイント:お店が、自分の売上の中から出しています。処方せんのお薬代に付ければ、お店が薬代を値引きしているのと同じです
  • カードのポイント:お店はカードで支払われると、カード会社に手数料を支払います。カードのポイントは、その手数料などを元手に、カード会社が付けています。お店が値引きしているわけではありません

業界紙でも、2012年当時から「お店のポイントは、お客さんが支払ったお金を元手にした直接の値引き。カードのポイントは、お店がカード会社に支払った手数料が元手」という整理が示されていました。国が「カードのポイントは、支払いを便利にするためのもの」としたのも、この違いによるものと考えられます。

ただし、カードのポイントも、あくまで「当面やむを得ない」という扱いです。いつまでも今の形が続くとは限りません。

窓口で知っておきたいこと

  • お店のポイントは、多くのお店で現金で支払ったときだけ。カードやスマホ決済で支払うと付きません
  • クレジットカードやPayPayのふだんのポイントは付きます。キャンペーンの上乗せは、調剤が対象外のことが多いです
  • 貯まったポイントで、処方せんのお薬代は支払えません
  • 市販薬や日用品のお買い物は、これまでどおり、どの支払い方でもお店のポイントが付きます

お店ごとの扱いと、どう支払うとお得かは、処方せんの支払いでポイントは付く?ドラッグストアごとの扱いでくわしくまとめています。

よくある質問

処方せんのお薬代のポイントは、法律で禁止されているのですか?

健康保険を使う薬局が守る国のルール(厚生労働省令の「保険薬局及び保険薬剤師療養担当規則」)で、2012年10月から「お金の得で患者さんを呼び込んではいけない」とされています。お店のポイントはこれにあたるとして、原則として認められていません。

なぜ1%までは許されているのですか?

国の通知では「1%を超えるもの」が指導の対象とされていますが、なぜ1%なのかの説明は見当たりませんでした。カードや電子マネーのポイントを「当面やむを得ない」としていることと合わせて、1%ほどまでは見過ごせる範囲、という線引きだと考えられます。

病院の窓口でも同じですか?

はい。2023年9月の国の案内で、病院やクリニックの窓口でも同じ考え方とされています。カードなどで支払えば、カードのポイントは付きます。

この先、カードのポイントも付かなくなりますか?

カードや電子マネーのポイントは、2012年から一貫して「当面やむを得ない」という扱いです。いまのところ変える案内はありませんが、変わる可能性はあります。新しい動きがあれば、この記事に書き足します。

まとめ

処方せんのお薬代とポイントのルール・要点のまとめ

  • 処方せんのお薬代は国が決めた値段。自己負担分は値引きできず、お店のポイントは値引きと同じと考えられている
  • 2012年10月から、お店のポイントは原則として付けられない。カード・電子マネーのポイントは「当面やむを得ない」
  • 2017年から、1%を超えるポイントなどが指導の対象に
  • 2026年6月、カードとお店のポイントは合わせて1%まで。QRコード決済もカードと同じ扱いに
  • 「現金のときだけ」は国の命令ではなく、1%を守るために各社が選んだやり方

処方せんのお薬代は、お店の「サービス」で差をつけられない、少し特別なお買い物です。ポイントの仕組みを知っておくと、窓口で「あれ?」と思うことが少なくなると思います。

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参考にした公式ページ

2010〜2012年の動き(調剤ポイントの広がり・2011年1月の通知・業界の受け止め)は、薬事日報・じほう・東洋経済オンラインの当時の記事もあわせて確かめました。

あやの

あやのです。自治体や地域づくり、交通、スーパーなどのお買い物の場で、キャッシュレス決済に関わり続けてきました。レジの向こう側から見てきた経験をいかして、関西を中心に、スーパーやドラッグストアの支払い方を自分で調べてまとめています。調べ方と、決めていること →

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